神経系

①筋断面積で筋が太ければ太いほど力が強いと説明しました。
筋のメカニズムでいうとそれは間違いないです。
 
しかし、身の回りで身体が小さいにも関わらず力がめちゃくちゃ強い人ってたまにいませんか?
実際に①筋断面積で貼付した福永ら(1978)の研究でも、下の図のように赤丸で囲ったような外れ値を示す人がいます。
なぜ、このような現象が起きるのでしょうか?
 
 
 
筋のポテンシャルをちゃんと使えているかどうかは別で、
実は普通の人は6〜7割程度しか出せていないのです。
 
そのメカニズムについてご説明させて頂きます。
 
 
例えば、腕を動かそうとする時、
脳からの指令がインパルス(電気信号)によって伝えられ、脊髄を介して運動神経にまで伝達されて上腕二頭筋が収縮します。
 
 
このように、筋は神経によって支配されているので、神経の興奮によって筋の発揮筋力が決まります。
 
脳から脊髄までの神経を中枢神経と呼び、
脊髄から筋肉までの神経を運動神経と呼びます。
 
運動神経は、中枢からのインパルスによって神経自身が強く興奮したり、弱く興奮したりすることはありません。
中枢からのインパルスの強さによって興奮するかの閾値は運動神経ごとに決まっており、
その強さを下回れば全く興奮せず、超えれば全力で興奮します。
実は、運動神経は興奮するか否かの二択であり、これを全か無かの法則といいます。
 
また、興奮するか否かの閾値は細胞体のサイズで決められており、
遅筋線維はサイズが小さくて閾値も低く、速筋線維ほどサイズが大きくて閾値も高くなります(サイズの原理)。
小さい力を発揮する時は中枢からのインパルスは低く、大きい力を発揮する時はより強いインパルスが出ます。
つまり、中枢(脳)からのインパルスが強ければ強いほど多くの筋線維が動員されていくメカニズムとなっています。
 
 
このメカニズムが、身体が小さいにも関わらず力が強い人の秘密です。
下の図は、全力で力発揮した時の一般人とトレーニング者とを比較したものです。
 
 
このように同じ断面積でも収縮する筋線維の数に違いがあれば力の出力も違います。
これは先ほど述べたように、中枢のインパルスの強さが主な要因で
トレーニング者の方が中枢のインパルスが強く、運動単位が動員されたからということです。
 
この運動単位の動員も、実は筋力トレーニングによって改善されます。
 
 
筋力が上がる他の要因には、運動単位の同期化、発火頻度の増加、共収縮の抑制、腱紡錘の機能低減などがありますが・・・
これは後々本サイトで紹介していきます。
 
 
話は戻って、
なぜ、最大で力を出しているにも関わらず中枢からのインパルスが一般の人は低いのだろうと思いませんか?
 
これはずばり、心理的限界によるものです。
トレーニングをしていない一般人では、実際に本気で力発揮しても6〜7割程度しか出せていません。
その理由は、筋が全力で収縮してしまうと腱や骨などの関節が壊れてしまう恐れがあるからです。
つまり、人間の防衛本能ゆえに制御してしまっているのです。
 
皆さんがよく使われる火事場の馬鹿力というのは、
この心理的限界のリミッターが一時的に解除された状態のことを表します。
 
 
パワーリフティングやウエイトリフティングなどの階級制で争っている競技は
筋量はライバルとほとんど変わらないため、いかに心理的限界を100%に近づけれるかで勝負していることがこのことによりわかりますね。
 
心理的限界を引き上げる方法はたくさんあり、現場で使われつつも研究で証明されていないことも多くあります。
このサイトで様々な方法を取り入れ、ご自身で効果を確かめてみてください。
 
なんやかんやで、筋力は気合によっても変わることがわかりますね。
精神論って大事ですね(笑)
 
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