記事のアーカイブ

筋核数は我々のトレーニングに対する応答性を決めている?

筋核数は我々のトレーニングに対する応答性を決めている?今回は我々の筋肉を形作っている骨格筋細胞、その中でも細胞の「核」にターゲットを当てて新しいエビデンスを紹介したいと思います。この記事を読んでいただいているトレーニーの皆さんは日夜、筋肉を大きく、そして強くするためハードワークに励まれていることと思います。筋肉が大きくなるということは即ち骨格筋細胞が大きくなるということです。筋肉は長さが最長で数十センチにもなる糸のような線維上の細胞が集合することで構成されています。この辺は改めて記事をまとめたいと思いますが、この骨格筋細胞の特徴としてあげられることはズバリ、長い、そして非常に沢山の細胞核をもっ
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[スクワット] 裸足とランニングシューズの違い

   近年、スクワットやデッドリフトといったパワーリフティングエクササイズを裸足で行うトレーニーが増加している。  シューズメーカーでは、裸足の感覚を強調するため裸足のような靴も開発しているようだ。  人気のあるサイトでは、裸足で行うトレーニングは足の筋力と全体のスタビリティ(安定性)の改善に関して有利であり得ることを提唱している。[1]  [2]  しかし、裸足で行うトレーニングを支持する客観的なデータは存在しない。  そこで本研究はバーベルスクワットの運動力学を、ランニングシューズ着用時と裸足時で比較し、裸足時での利点について評価することを目的とした。 &n
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週6回vs週3回 頻度よりもボリュームが大事!?

  現在に至るまで、多くのレジスタンストレーニングの研究は、強度やボリューム、インターバルに焦点が当てられ、これらのトピックに関する文献は数多く存在する。一方、”頻度”に関する研究(特に高頻度)は不足しており、最適な頻度については未だ議論の余地がある。 ハイレベルなウエイトリフターのトレーニンング方法として、特にトレーニング量が多くなる期間においては、強度を維持するために1日のトレーニングを2セッションに分けることがある。 このように、トレーニング頻度の増加を助長する事例証拠はあるものの、査読された科学的なデータの量は不足している。 そこで本研究は、高頻度のトレーニング(6回/週)
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苦手なスクワットを克服するー身体的な特徴を理解するー

   ここでは、スクワットを上手くしゃがめないと感じている方に対して、私の経験をもとに少しでもアドバイスが出来ればと思っています。内容は、「自分の身体的な特徴を理解して、どのような対処ができるのか?」についてです。  筆者もスクワットを始めた頃、フルまでしゃがむことができずそのフォームは周囲の方がドン引きするほどのものでした。(今まで多くの選手を指導してきましたが、筆者の右に出る者はいないと言っても過言ではないほど下手です笑。) 少し前から日々失敗を繰り返して得た経験を、同じように悩んでいる方々に伝えたいとずっと思っていましたので、これを機に書かせていただきます。 もちろん、人によっ
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高頻度トレーニングで重量を伸ばす!?

  パワーリフティング競技では、”エブリディベンチプレス”といった週5〜6日程度の高頻度トレーニングを実施する選手が多数存在する。競技者の中には、フォームの安定や改善に良いという声もある。 しかし経験的に有効であるとされているが、科学的には明らかになっていない。 ベンチプレスといった多関節動作では、様々な筋が互いに協調して連動する。 パワーリフターを対象にしたベンチプレスの研究(トップリフターのベンチプレスを科学的にみる)では、バーベル挙上時の筋の連動性が個人個人で異なることを報告している。つまり、上級者は長年の経験を経て、自分の身体的特徴や筋の構造に合うようなフォームに調整してい
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ドーピングの効果はいつまで残存するのか?

 最近フィットネス界隈を賑わしている”ドーピング”。一度ルールを破れば長期的に競技への参加が禁止されるなど重い制裁が課せられるが、その後競技へ復帰している選手は少なくない。一方でタンパク質同化ステロイドやテストステロンなど骨格筋量そのものを増大させるような薬物が筋に及ぼす影響は現在でも完全には明らかになっていない。  今回Pick...
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フィッシュオイルは筋肥大にも効果的!?

   日々ハードなトレーニングを実施している者にはもはや定番となっているフィッシュオイル(魚油)のサプリメント。青魚(イワシ、サバ)にはエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸などのn-3系多可不飽和脂肪酸(n-3脂肪酸)を豊富に含むことが知られている。これまでにn-3脂肪酸をサプリメンテーションすることで筋量の減少が生じるような高齢者や糖尿病患者の筋量を増加させることが報告されてきた。 今回紹介する研究では、我々のような健康な人に対してもこのフィッシュオイルのサプリメント摂取によって筋肥大が起きるかを検証している。   方法 9名の健康な成人男女(男性:5,...
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低グリコーゲン状態でもアナボリックな応答は抑制されない

  ※筋グリコーゲン=筋肉に蓄えられる糖の一種で、筋肉の収縮のためのエネルギー源となる。   方法 16名の健康な男子   被験者は片脚のサイクリングで疲労困憊させ、もう一つの脚は安静にした。 疲労困憊した脚をLOW、安静にした脚をNORMに分類した。 次の日の朝、80%1RMの負荷で片脚ずつレッグプレスを5回8セット行った。 運動直後と2時間後に、8人は栄養補給させるグループとしてホエイ(20g)とマルトデキストリン(40g)を摂取させ、もう8人にはプラセボグループとして人口甘味料の水を摂取させた。   栄養グループのLOWとNORMを比較
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低酸素トレーニングで筋力を向上させる

    目的 低酸素環境下で高強度レジスタンストレーニングを実施した場合、通常酸素環境下と比較して筋力、除脂肪体重、20mスプリント、ジャンプ力の向上に効果的であるかどうかについて調査をした。   方法 被験者 レジスタンストレーニング経験者 20名   トレーニング内容 スクワット、デッドリフト、ランジ  2-4セット 3-6回 インターバル3分   トレーニング群分け 低酸素群  10名 開始~4週 酸素濃度14.5% 標高3100m  5週~7週  酸素濃度14.1%...
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計画的に増量をする

  増量は、あらかじめ目標体重と期間を決めてから逆算をして、必要となる摂取カロリーを1日単位で割り出すのが一般的である。 体重の増減は、エネルギー摂取量とエネルギー消費量の差、つまりエネルギーバランスによって決まる。 つまり体重を増やすためには、このエネルギーバランスを正(摂取量側)に傾けなければならない。 それでは、具体的にどれくらいのエネルギー摂取量が必要になるのであろうか。   筋組織の22%はタンパク質であり、70%は水分、残り8%がグリコーゲンや脂肪酸である。   摂取カロリーの余剰分がすべて筋の合成に使われたと仮定すると、 除脂肪体重(LBM)
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