代償性肥大した筋肉は特性が変わるのか?

 

前回の続きである。(肥大した筋肉は特性が変わるのか?

春日らが行った動物実験では、ジャンプトレーニング(JT)群と持久性トレーニング(IST)群、ヒラメ筋の協働筋を切除した代償性肥大(TT)群を設けた。介入後、肥大の増加率はJT群+136.8%、IST群+117.3%、TT群+158.9%であり、TT群の代償性肥大による顕著な増加が見られた。

前回では、トレーニングによって肥大した筋の機能特性は変わらないことを紹介した。

しかし、代償性肥大による最大発揮張力(N/cm2)は、5週目では変わらないが1週目、3週目では低く示された。つまり、代償性肥大による初期の急性肥大は、筋肉の太さに見合った筋力が出せなかったのだ。

断面積あたりの筋力が低いことは、収縮たんぱく量が少ないことを意味している。

このように代償性肥大のような急性に肥大した筋の初期では、収縮たんぱく量が追いつかず断面積あたりの発揮張力が低下してしまうこともある。しかし、短縮速度に関しては変化がなかったようだ。実におもしろい。

Norikatsu KASUGA, Minenori ISHIDO, Atsumu YUKI and Tomie NISHIZAWA  「Functional Properties of Hypertrophied Muscle Fiber.2012.Bulletin of Aichi Univ. of Education, 62 pp. 27 - 33, March, 2013