低酸素トレーニングで筋力を向上させる
目的
低酸素環境下で高強度レジスタンストレーニングを実施した場合、通常酸素環境下と比較して筋力、除脂肪体重、20mスプリント、ジャンプ力の向上に効果的であるかどうかについて調査をした。
方法
被験者
レジスタンストレーニング経験者 20名
トレーニング内容
スクワット、デッドリフト、ランジ
2-4セット 3-6回 インターバル3分
トレーニング群分け
低酸素群 10名
開始~4週 酸素濃度14.5% 標高3100m
5週~7週 酸素濃度14.1% 標高3400m
VS
コントロール(通常酸素)群 10名
7週間 酸素濃度 20% 標高400m
結果
スクワットの1RMは、介入前と比較して両群ともに増加を示した。
さらに1RMの増加幅では、低酸素群の方がコントロール群よりも有意に高かった。
ジャンプピークパワーは、介入前と比較して低酸素群でのみ増加を示したが、20mスプリントと除脂肪体重に有意な差は認められなかった。
結論
低酸素環境下での高強度レジスタンストレーニングは、通常酸素環境下よりも筋力の向上に有効的である。
感想
これまで筋力を増加させるために、適切な強度やセット数、インターバル時間などの変数を見つけようと多く議論されてきました。物理的に動くような変数を模索してきた中で、低酸素環境が筋力の増加に貢献するという報告は概念を覆したようで非常に面白いと思いました。
また、心拍数と主観的疲労度(RPE)は、通常酸素群と比較して変わらなく、低酸素環境による負の影響がないというのも興味深い点ですね。
多くの検証が必要なのと筋力が上がったメカニズムについて解明する必要がありますが、パワー系アスリートにとって低酸素環境が一つのトレーニング変数になる日も近いかもしれません。
Inness MW, Billaut F, Walker EJ, Petersen AC, Sweeting AJ, Aughey RJ. Heavy Resistance Training in Hypoxia Enhances 1RM Squat Performance. Front Physiol. 2016 Nov 3;7:502.