計画的に増量をする
増量は、あらかじめ目標体重と期間を決めてから逆算をして、必要となる摂取カロリーを1日単位で割り出すのが一般的である。
体重の増減は、エネルギー摂取量とエネルギー消費量の差、つまりエネルギーバランスによって決まる。
つまり体重を増やすためには、このエネルギーバランスを正(摂取量側)に傾けなければならない。
それでは、具体的にどれくらいのエネルギー摂取量が必要になるのであろうか。
筋組織の22%はタンパク質であり、70%は水分、残り8%がグリコーゲンや脂肪酸である。
摂取カロリーの余剰分がすべて筋の合成に使われたと仮定すると、
除脂肪体重(LBM)を1kg増やすためには、およそ220gのタンパク質が余分に必要となる。220gのタンパク質は、カロリーで計算すると880kcalである(タンパク質1gあたり4kcal)。
タンパク質の比率が総カロリーの15%と仮定した場合、
15%で880kcal(タンパク質220g)なので、LBMを1kg増やすためには、総カロリーを5867kcal摂取する必要がある。
LBMを1週間で1kg増やすためには、5867kcal÷7日= 838kcal/日となり、
1日あたり838kcalだけ消費カロリーよりも余分に摂取すれば、1週間でLBMが1kg増える計算となる。
このように目標を定めて計算することは大事であるが、実際には体重が停滞したり予想以上に体脂肪が増えたりもする。
なぜなら、摂取カロリーの余剰分がすべて筋の合成に使われる仮定のもとで計算しており、理論値に過ぎないからだ。
さらに、間食のタイミングや睡眠時間、運動量などによってもLBMは大きく変動する。
人間の身体は複数の要因が複合して起きているため、設定した理想値どおりにはならない。
このような誤差は、毎日体重を計りセルフでキャリパーをする(脂肪をつまむ)などをして日々自己分析し、柔軟に微調整していく経験が必要である。
そのため、増量を実施するためには、基礎的な生理学について知ることはもちろん大事であるが、誤差を調整する経験値が一番必要になるだろう。